米政府、駐EU大使の証言阻止 トランプ氏弾劾調査で対立激化
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【10月9日 AFP】米政府は8日、ゴードン・ソンドランド(Gordon Sondland)駐欧州連合(EU)大使に対し、ドナルド・トランプ(Donald Trump)大統領に対する弾劾調査の一環として求められていた議会での証言を拒否するよう命じた。これを受け、弾劾調査を主導する民主党議員らは、ソンドランド氏に証言と関連文書の提出を求める召喚状を出すと発表。トランプ氏の大統領職をめぐる政権と民主党との対立が激化している。
ソンドランド大使は、トランプ氏が自身の政敵であるジョー・バイデン(Joe Biden)前副大統領を調査するようウクライナに圧力をかけたとされる問題の渦中にいる人物。弁護人のロバート・ラスキン(Robert Luskin)弁護士の発表によると、同大使は弾劾調査を行う民主党下院議員らに対する証言に同意していたが、米国務省から8日早朝、聴取には応じないようにとの指示があったという。
トランプ氏はツイッター(Twitter)への投稿で、ソンドランド大使の証言には「喜んで」応じたいところだが、「残念ながら、彼は共和党員らの権利が剥奪され真の事実が国民の目から隠されているような、全体に欠陥のあるいかさま法廷で証言することになる」と説明した。
弾劾調査は、トランプ氏が7月25日の電話会談でウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー(Volodymyr Zelensky)大統領に圧力をかけていた事実が発覚したことを受け、先月に開始された。民主党はこれまでにマイク・ポンペオ(Mike Pompeo)国務長官ら複数の政権職員に召喚状を出し関連文書の提出を命じたが、ホワイトハウスは概して調査への協力を拒否している。
ソンドランド大使はホテル経営を手掛ける資産家で、2016年大統領選でトランプ氏側についていた大口寄付者の一人。弾劾調査では、同大使を含む米外交官らの間で7~9月に交わされたテキストメッセージが民主党議員らに提出され、調査の焦点となっている。
一連のテキストメッセージからは、米国による軍事支援を求めるウクライナに対しバイデン氏を調査するよう圧力をかける米政権の試みに、ソンドランド大使ら米外交官と大統領の個人弁護士ルドルフ・ジュリアーニ(Rudy Giuliani)氏、ウクライナの大統領側近が協力していたことが示されている。(c)AFP/Michael Mathes